開館40周年記念特別展「ざんねんな鳥&茨城のいきもの展」が現在、水戸市立博物館(水戸市大町)で開かれている。
市制90周年記念事業の一環として1980(昭和55)年にオープンした同施設。水戸市の自然・民族・歴史・美術など多岐にわたる資料を収蔵・展示する。開館40周年に当たる今年、高橋書店が発行する「ざんねんないきもの事典」から「鳥」をテーマに特別展を企画した。
「ざんねんないきもの事典」は2016(平成28)年5月21日に初刊発行。全5作シリーズの累計発行部数は現在420万部を超える。2018(平成30)年、2019年(令和元)年の「小学生がえらぶ!こどもの本総選挙」では1位を獲得するなど話題を集めた。あえて「ざんねん」という言葉を使って生き物たちの意外な一面・真実を紹介し、「一生けんめいなのにどこかざんねんないきものたち」の面白さを楽しく分かりやすく伝える。
館長の関口慶久さんは「今までは生き物の『すごさ』を強調した展示ばかりだったが、子どもから大人までの心をつかんだ『ざんねんないきもの事典』とコラボして『ざんねん』という斬新な切り口で変えてみたらより魅力的な展示になると思った」と話す。
同展では、事典の中から抜粋した30種類の鳥の絵と文に加え、実物のはく製や写真、映像と同館オリジナル解説文を並べて展示する。「ざんねんな鳥」と茨城に生息する15種類の生き物の「ざんねん」を紹介する「ざんねんな茨城のいきもの」の2部構成となっている。写真や映像は、コロナ禍で移動を伴う資料収集ができないためSNSで提供を呼び掛けたところ、これまで公開されていないような貴重な写真や映像が世界中から届いたという。「SNS利用は初めての試み。新しい可能性を見いだせた貴重な経験だった」と関口さん。「事典を読んだことが無い人はもちろん、読んだことがある人も実物を見ることでより面白いと思ってもらえるのでは。ざんねんな習性は映像で見るともっとざんねんな感じがして笑ってしまう」とも。
「ざんねんな茨城のいきもの展」では「ハクセキレイは水戸市の鳥なのに新入り」や「千波湖のコイは鳥のうんこが大好き」など茨城の身近な生き物のざんねんだけど愛らしい一面を紹介する。会場内の解説パネルには全て、文字にふりがなを付け、小さな子どもでも読めるようになっている。
水戸市在住の70代男性は「孫が大好きな『ざんねんないきもの事典』の特別展があると知った。孫を連れてきたいと思って軽く下見に来たつもりが、あまりに面白くて予定より時間がたってしまった。孫も絶対喜ぶはず」と笑顔を見せる。
関口さんは「『へえー、そうなんだ』というトリビア的なものから、『あるある』とうなずけるものなど、子どもも大人も楽しく学べる内容となっている。『ざんねん』をきっかけに生き物の多様性を再発見してもらえれば」と来場を呼び掛ける。
新型コロナウイルス感染防止策として、土曜・日曜・祝日はウェブで入館予約が必要。30分ごとに40人の入場制限を行う。
開館時間は9時30分~16時45分。入場料は一般200円。18歳以下・65歳以上無料。会期中の土曜・日曜に限り、18歳未満の子ども1人につき大人1人無料。月曜休館。11月23日まで。