水戸の酒造会社「明利酒類」(水戸市元吉田町)社員らが12月11日、茨城県庁を訪れ、大井川和彦県知事に「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の採択と今後の事業展開について報告した。
水戸市の老舗酒造会社である明利酒類は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、今年3月、全国に先駆けて醸造技術を転用したアルコール製剤「メイリの65」の販売を開始。4月中旬には、緊急事態宣言の最中、経産省から免許を取得。5月に大容量の「MEIRIの除菌 MM-65」の製造販売を始めた。現在、消毒液の代用品として県内の小中学校や全国の企業、工場などに販売している。
11月20日、同社は経産省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」補助事業者として採択された。「総合アルコールカンパニー」として、アルコールを安定的かつ安価に取り扱える強みを生かし、低価格×高品質で大容量の医薬部外品である手指消毒液の製造に乗り出す。
投資額は約1億円。医薬部外品の免許取得に向け、現在アルコール製剤や調味料を製造している本社工場に設備投資する。衛生環境整備と充填機などの設備機器装置を導入し、生産効率を上げていく。工事は来年2月に着工し、4月稼働を目指す。有効成分「ベンザルコニウム塩化物」を含み、手指用消毒液をうたえる医薬部外品として、年間最大で336万リットルを製造する予定。高品質の需要が高い自治体や医療施設をはじめとした地域への安定供給を図る考えだ。
同社では新たに20代~40代を中心とした医薬部外品事業チームを新設。社長室長の加藤喬大さんは「当社の強みはアルコールの仕入れ力、保有力、濃度調整設備。感染症の時代、インフラとしての消毒液などの医薬部外品製造業を通じて、地域の安定供給を図り、より社会に価値を提供していきたい。これからチームで全力を尽くして取り組んでいく」と意気込む。