茨城県立水戸商業高校の生徒が水戸市のラーメン店「中華そば浜田屋」と共同開発したラーメン3種が現在、浜田屋系列店で提供されている。
共同開発に参加したのは同校国際ビジネス科3年の佐々木丈さん、西沢温(あたる)さん、住谷楽さん、宇野叶夢さんの4人。
「商品開発」は、同校で2019年度に始めた選択授業の一環。浅野謙太教諭によると、1・2年の検定や資格の取得に向けた学習から、実践型の授業として3年のカリキュラムに組み込んだという。
浜田屋とのコラボは2019年度に続き2回目。前回発売した「梅みぞれラーメン」は現在、レギュラーメニューに「昇格」している。昨年から企画の提案や試作を重ね、2月8日から浜田屋系列店全5店舗で販売している。
今回、開発したのは「碧風(あおかぜ)ゆず塩ラーメン」「ねばトロ納豆辛ラーメン」(以上900円)「水商極とんこつラーメン」(780円)の3種類。
「碧風ゆず塩ラーメン」は女性でも食べやすいようあっさりした味わいに仕上げた。鶏チャーシュー、ユズの香りが強めに残るのが特徴。
浜田屋の辛みそスープをベースに、納豆を加えまろやかな風味が特徴の「ねばトロ納豆辛ラーメン」は佐々木さんの発案。自身が納豆好きで、みそラーメンに合わせて食べた際においしかったことから浜田屋でのプレゼンテーションに盛り込んだ。佐々木さんは「初めはメンバーからも『おいしいの?』と不安の声があった」と振り返る。試食後、周りからも「これはいける」と反応が変わり、手応えを感じたという。
西沢さんが担当した「水商極とんこつラーメン」は、浜田屋の姉妹店「九州ラーメン元吉田店」の豚骨ラーメンをベースに黒マー油を加え、視覚的にも食欲が増すよう工夫を凝らした。「食欲も湧いて、サラリーマンの方や学生もがっつけるメニュー」と話す。
浜田屋エリアマネジャーの山崎勉さんは「昨年に続いて2回目のコラボ。今年は納豆ラーメンなど面白い発想があった。プロモーションに使うポスターや動画など制作も自分たちで手掛け、メニューについて来店客からは『高校生が考えたとは思えない』などの反響もある」と話す。
商品開発では、高校生視点でのマーケティングにも注力した。西沢さん自身が作詞作曲・編集まで行ったオリジナルの歌を乗せたプロモーション動画やターゲットや重視するポイントを設定した商品開発、「自分たちの世代に身近なツール」としてインスタグラムを活用した広告を展開した。
浅野教諭は「この取り組みを通して、生徒らの表情が変わった。実践を通して『もっとこうしたい』『こうしたらどうか』と自発的に提案する姿も見られた。教科書だけでは学べないものが得られた」とほほ笑む。
佐々木さんは「どうやって売るのか、広告宣伝はどうするかなどのステップを通して商品を売る前の大事さに気付くなど社会の中でいい経験ができた。周りからも反響もありうれしい」と話す。西沢さんは「今後、社会人になった時に今回の企画や提案などの経験を役立てたい」と意気込む。
提供は「碧風ゆず塩ラーメン」「ねばトロ納豆辛ラーメン」=浜田屋本店など4店舗、「水商極とんこつラーメン」=九州ラーメン元吉田店のみ。動画は同校のホームページに掲載するほか、ユーチューブでも公開している。売り上げの一部は水戸市に寄付する。販売期間は3月末までの予定。