常磐大学大学院人間科学研究科の水口進教授が昨年11月から3カ月連続で、「世界一短い育児書」「世界一短い療育本」「世界一短い人生哲学書」の3冊を自費出版した。
「世界一短い育児書」「世界一短い人生哲学書」「世界一短い療育本」
水口教授は秋田県出身。秋田県小児療育センター診療部臨床心理課長を経て、2006(平成18)年4月に常磐大学人間科学部現代社会学科教授就任。現在、常磐大学大学院人間科学部教授、人間科学部現代社会学科教授を務める。
臨床心理士として、保健所が行う移動発達相談などで発達に遅れのある子どもや育児不安を抱える保護者への個別相談対応のほか、保育所職員などへの助言指導、自治体職員へのメンタル ヘルス指導も行っている。
昨年11月に全12ページの「世界一短い育児書」を発刊。これまでの講演などの内容を気軽に読めるよう、専門家や子育て中の母親に向けた一冊とした。同書では、抱っこだけではなく、目で、声で、笑顔で「抱える」大切さを説く。挿絵はカウンセラーとして出会った、地域自立サポートセンター「ゆうき」所属の長谷川志歩さんが手掛けた。
水口教授は子育てを「凧揚げ」に例え、「母親は少しずつ糸を伸ばし、高校を卒業するまでは糸を離さないように」と話す。「携帯電話に糸はついていない。子どもが風を受け損なって落ちてきた時は優しく抱きしめてあげてほしい」と水口教授。「お母さんに心の波長を感じ取ってもらった赤ちゃんは大きくなってからコミュニケーションが上手になる。赤ちゃんの時にさまざまな「抱え」を受けると、大きくなってから自分の心を抱えられるようになり、自分の心を持て余す人にはならない」とも。
「世界一短い療育本」では、軽度発達障がいの子を持つ親に「適切な心配」を促す一冊とした。保護者に向け、就学前から義務教育期間中の不安を軽減するねらいがあるという。
「世界一短い人生哲学書」では、「豊かな虚の世界を求めて」とサブタイトルを付けた。水口教授は「人は、学校や職場などの『実』の世界だけでは生きていけない。『実』の世界を豊かにするには、一人の豊かな『虚』の世界が必要。『実』の世界から離れた時に、自分の世界で戯れる、自分の世界で無心に遊ぶことが必要」と話す。
「人は過剰適応すると孤立してしまう。コロナ禍により孤立する人が増えている。自分の世界を持つ豊かな『孤独』はあるが、『孤立』は破滅を招く」とも。
3冊は各1000部発刊。問い合わせは同大学心理臨床センター(TEL 029-232-2875)まで。