茨城県が3月9日、オンラインで「いばらき地酒ソムリエ向けオンラインセミナー」を開いた。
「いばらき地酒ソムリエ」認定制度は、茨城の地酒の魅力を広める人材を育てようと2020年1月に創設。これまで県内外337人が認定を受けている。今年は新型コロナによる影響で、開催予定だったS級ソムリエ試験が中止となったことからセミナー開催を企画した。
当日は、関東信越国税局酒類業調整官の山田潤一郎さんを講師に招き、「日本酒の味の予測と『いばらき地酒』」をテーマに講演を行った。
講演で山田さんは、日本酒の味を予測するポイントとして、「精米歩合」と「原料米の品種」、酒母(もと)の仕込みや醪(もろみ)の発酵、搾りの方法といった「造り」の3つを挙げ、茨城県の地酒の個性の分析を説明。原材料、精米歩合、こうじ米の割合による日本酒の分類や酒を温めた時の味の変化、日本酒と料理のペアリングの基本と個々の香味による効果などを紹介した。
「日本酒の味は糖、酸、アミノ酸のバランスによって決定され、アミノ酸が多ければコクのある酒に、少なければさっぱりとした酒になりやすい。日本酒の魅力はさまざまな温度帯で楽しめるところ」と山田さん。
昨年9~10月に行われた「第91回関東信越国税局酒類鑑評会」では、群馬、栃木、茨城、埼玉、新潟、長野の6県199蔵元が出品。吟醸酒の部・特別賞に「森島酒造」(日立市)の「富士大観」、純米吟醸の部・特別賞に「廣瀬商店」(石岡市)の「SEN」が選ばれた。同品評会で優秀賞含めた入賞率は茨城県が6県中でトップ。山田さんは「茨城県は醸造技術が高い」と話す。
「コロナによって(飲食店向けの)酒需要が低迷しているが、酒そのものが悪いのではない。酒文化は昔からある伝統文化。家飲みなどでも、日本酒の知識をつまみに楽しんでいただけたら」とも。
県産業政策課では、来年度も同試験を行う予定という。河原井淳室長は「鑑評会の入賞率でも分かるように、茨城にはたくさんのおいしい酒がある。ソムリエ認定を受けた皆さんにはぜひ発信いただきたい」と呼び掛ける。