水戸と大洗に店舗を展開するトンカツ店「クックファン」(本店 水戸市酒門町、TEL 029-246-4847)が、同店初となる「冷凍トンカツ」の販売を始め、1カ月がたった。
同店は2000(平成12)年5月に水戸市で創業したトンカツ店。店名には「Cook(うちの料理の)Fan(ファンになってもらいたい)」という意味を込める。現在、水戸市の本店と大洗シーサイドステーション内の2店舗を持つ。
新型コロナの影響で、同店の来店客数は大きく落ち込んだ。店主の常盤佳心彦さんは「前向きにやっていこうと言いながらも、日に日に元気のなくなるスタッフたちの姿に、このまま(店を)閉めるしかないのかという考えもよぎった」と振り返る。
コロナ禍により飲食業界などでも、テークアウトや通販という流れも生まれていたが、これまでに通販の実績もなく、同店のメイン客層である単身者の環境では、自宅で揚げ物をしにくいなどの課題があったという。
「初めは自分やスタッフたちも『揚げたトンカツは冷凍したらおいしくない』との固定観念にとらわれていたが、この激変した生活様式の中で、私たちも変わらなければならないと思った。『こうすればおいしくできるのではないか』と試行錯誤を重ねた」と常盤さん。
冷凍トンカツは、家庭で油揚げせずに済むよう加熱処理する。電子レンジで解凍し、フライパンかオーブントースターを使い、店で出すトンカツの味や食感が再現できるようにした。
メニューは、「ロースかつ2枚 合計約300グラム!おうちで簡単とんかつ」(1,700円)、「ロースかつ1枚 ヒレかつ1枚 合計約300グラム!おうちで簡単とんかつ」(1,800円)、「ヒレかつ2枚 合計約300グラム!おうちで簡単とんかつ」(1,900円)など。各部位2枚ずつ、3枚ずつのセットも用意するほか、オプションメニューで、「メンチカツ2個 アスパラ2本」(580円)などもある。豚肉は、国産や茨城県産の銘柄豚にこだわる。
商品では、単身者の台所環境でも調理しやすいように、キッチンペーパーとアルミホイルもセットにした。賞味期限は1カ月半。
2月12日に通販ページを立ち上げたところ、すぐに800枚以上の注文が入り、受け付けを一時中断した。2月27日に通販受け付けを再開した。
ウェブ上で「みんなのおいしい作り方・食べ方」の掲示板」を設置し、各家庭のレンジやトースターのメーカーなどでの情報を共有できる場とした。
4月からは、同店の人気メニューを冷凍した「冷凍カレー」や50グラムサイズの一口サイズのトンカツ、唐揚げ、カキフライ、エビフライの通販も予定する。
SNS上では、写真付きで「想像以上においしかった」という声や外食をためらう高齢の親を持つ人から喜びの声が寄せられているという。
「今回、自分が固定観念にとらわれていたのだ思った。まさに目からウロコで、学びにもなった。21年間の営業の中で初めての挑戦。今後はトンカツのサブスクリプション・サービスなども取り組んで行けたら」と意欲を見せる。