常磐大学高校・吹奏楽部が3月21日、同校内とオンラインで「スプリングコンサート」を開く。
新型コロナの影響で、昨年のスプリングコンサートは中止を余儀なくされた。今年も開催が危ぶまれたが、会場は関係者のみの入場に制限。一般客はインスタグラムとユーチューブでのライブ配信で視聴できるようにした。
同部では、緊急事態宣言による休校期間中も、オンライン合奏の動画制作などに取り組んだ。昨年夏に開かれた過去の祭り映像などを公開する「リモート水戸黄門まつり」内では、一般から投票を募った「リモートステージコンテスト」で1位に選ばれた。
今年1月末の部活動再開後も、楽器の練習や合唱は自粛。実業家のオンライン講演会の開催のほか、生徒による「楽器が吹けない今だからこそできる楽しいことのプレゼンテーション」を行うなど模索を続けてきたという。
2月中旬に個人練習に限っての楽器練習、3月から合奏を再開し、準備を進めてきた。「練習できない期間も長かったが、一生懸命に努力してきた1年間の成果を見ていただきたい」と顧問の首藤美香教諭。
コンサートでは、吹奏楽のための第2組曲、Queen Openerをはじめ、劇団四季出身で水戸芸術館演劇部門担当の高城信江さんのレッスンを受けて製作したミュージカル「ONE~音楽と言葉でつむぐ、一人一人の物語~」、ステージドリル(マーチング)などを披露する。ミュージカルは3年生の今の気持ちと思い出の曲で構成する。首藤教諭は「今年だけでなく、昨年も含めた2年間が詰まった作品」と話す。
同部恒例企画として行う、自作動画を背景に流しながらの演奏では、人気アニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」を披露する。動画では、学校外での撮影にも挑戦し、部員だけでなく、茨城県の魅力も伝わるよう動画冒頭で大洗海岸や偕楽園などの観光名所も組み込んだ。
同校3年の戸﨑伶渚さんは「本年度はコロナウイルスの影響で、コンクールやマーチングの大会が中止になってしまったり、ステージ演奏の機会が減ってしまったりして、とても悔しい思いをした。一方で、この状況下で自分たちに何ができるかを考え、今回のスプリングコンサートではライブ配信を行うことにした」と経緯を話す。「スプリングコンサートでは、自分たちも楽しみながら、皆さまを笑顔にできるよう、精いっぱい頑張りたい。常磐ならではのステージを楽しんでもらえたら」と呼び掛ける。
同3年の袴田美香さんは「コンサートではクラッシック曲を始め、ステージでのマーチング披露、皆さんが知っている曲も演奏する。今年は初めてミュージカルにも挑戦する。昨年卒業された先輩方と一緒に演奏したり、部員全員で協力して作った映像を公開したり、見どころ満載」と話す。
「私たち3年生は、スプリングコンサートを最後に、部活を引退する。高校3年間の部活を通してさまざまな場所で演奏させていただいた」と振り返る。「先生方や両親を始め、今までお世話になった方々に感謝の気持ちを音楽に乗せて、コロナに負けない常磐サウンドを皆さんにお届けする。ライブ配信するので、私たちの『思い』を共有していただけたらうれしい」とも。
首藤教諭は「去年、高校生活最後の大会の中止が発表された時、泣いている部員もいれば、もうどうしていいか分からない、うまく感情が表に出てこない部員もいた。私たちにとっての大きな目標が無くなってしまった」と話す。
「昨年9月に行った学外演奏で、多くの皆さまからの温かい拍手に、ステージってこんなに楽しかったんだ、音楽ってこんなに楽しかったんだと指揮をしながら涙を流したのを覚えている」と首藤教諭。
これまでの練習や体制などの変化に部員同士、教諭と部員での衝突もあったという。首藤教諭は「そんな中でも、今できることを模索し、一生懸命努力して成長している部員たちには驚かされるばかり」と話す。
「部員たちは、今ある現状に満足せず、それぞれが努力し続け、自分たちの力や発想力で前に向かって進んでいる。コロナ禍ではあったが、すてきなご縁に恵まれた一年になった。さまざまな制限のある中、活動できたことが奇跡の連続だった」とも。
「今回の演奏会では、聴いてくださる皆さまの心の中に、「感謝」と「思い出」という花で、いつまでも色あせることのない幸せの花束を贈りたい。これからも「常磐でしかできない楽しいこと」を部員たちと一緒に模索し、部員たちと共に音楽を楽しみ走り続けていきたい」と意気込む。
スプリングコンサートは14時開演。動画へのアクセス方法は同部の公式ブログで公開する。