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茨城大学・岡田教授が書籍「チバニアン誕生」刊行 地質学を子ども向けに

「チバニアン誕生」を手にほほ笑む岡田教授

「チバニアン誕生」を手にほほ笑む岡田教授

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 新たな地質年代「チバニアン」が国際的に認められるよう調査を国際地質科学連合に提案した研究チームの代表で、茨城大学大学院理工学研究科の岡田誠教授が6月、子ども向け書籍「チバニアン誕生 方位磁針のN極が南をさす時代へ」を刊行した。

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 国際地質科学連合によると、「チバニアン」(ラテン語で千葉時代の意味)は、千葉県市原市にある地層「千葉セクション」での研究を基に、約77万4000~12万9000年前の新たな地質年代として決まった名称という。「地質時代の区分を決める国際標準模式地(GSSP=「国際境界模式層断面とポイント」の略称)に、日本の地名に由来した名前になるのは今回が初めて」とも。

 岡田教授は、国立極地研究所や茨城大学などによる研究提案チームの代表。チームは、「千葉セクション」で研究活動を進め、地球の地磁気が南北で逆転していることを確認。逆転した時期を明確に示し「チバニアン」として命名の申請を行っていた。同じ時代の命名権候補にイタリアの地層も挙がっていたが、昨年1月、国際地質科学連合の国際会議で「チバニアン」に決まった。

 「チバニアン誕生 方位磁針のN極が南をさす時代へ」は、新たな地質年代「チバニアン」が生まれるまでのノンフィクション。全5章。四六判サイズ、207ページ。価格は1,650円。書店や通販サイトなどで取り扱う。

 「小学校高学年にも分かりやすく親しめるように」とイラストやマンガ、コラムなどを交え、「千葉セクション」の日本初GSSP決定に至るまでのドラマや地質学の魅力、岡田教授の地質学者になった経緯などをまとめた。

 岡田教授は「地質学は地球科学の中でもマイナーだが、地層にはさまざまなデータが蓄積されている。土地の特性を分かっていれば分かること・解決できることもある。宇宙規模で考えれば、人間の存在はちっぽけなもので、気候変動などで困るのは自分たち。この地球に住まわせてもらっているから、家のことは知ろうよ、という思いがある」と話す。

 岡田教授は「昨今、子どもの理科離れが叫ばれているが、子どもは本質的には好奇心を持っている。例えば子どもが知っていて、大人が知らないことがあれば、それが自分でも勉強するきっかけにもなる。親子でこの本を読んで楽しんでもらえたら」とほほ笑む。

 岡田教授は出版記念企画として7月4日、チバニアンと鉄道を楽しむツアー「房総里山トロッコ列車で行くジオ鉄」(mihorin企画、小湊鉄道)に参加し、解説を行う予定。

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