サッカーJ2の水戸ホーリーホックが9月15日、ホームタウンの城里町で農業を新規事業として始めると発表した。
新規事業名は「GRASS ROOTS FARM」(グラスルーツファーム)。クラブが掲げるブランドプロミス「新しい原風景をこの街に」から名付けた。GRASS ROOTS は、「原風景は人の原点、農業は自然に逆らわず自然と共に生きていく原点である」と捉えたという。
当日は、国登録有形文化財の島家住宅で、麦わら帽子をかぶった小島耕社長、西村卓朗GM、新規事業担当の佐野元則さんが記者会見を行った。
ロゴは、サッカーと農業にいそしむ若者をイメージしたもので、「高く蹴り上げられたボールには、世界に向かう見とホーリーホックを想起していただければ」と小島社長。
農業県である茨城県の出口戦略に、熱狂的なファン・サポーター、地域とのコミュニケーションが取れるクラブの強みを掛け合わせることで「農業が新しい価値を生み出すことができるのではないか」と農事業への取り組みを決めた。
同事業では、ニンニクの生産から始める。有機栽培にこだわり、事業はクラブのスタッフ・佐野さんを中心にアカデミースタッフなども関わる。西村GMは「どうせやるならば難易度が高いというニンニクからチャレンジし、その土壌づくりが成功すればほかの作物もやっていきたい」と話す。
クラブでは農業経験者はおらず、西村GMや佐野さんも農業の研修を受けるなど、有識者のアドバイスや地元住民らの協力を受けながら進めているという。町内に畑約1000平米を借り、既に土壌づくりなどを始めている。
農業に興味を持つ選手もいることから、時間が空いた時に作業に参加することも想定されるという。今後、選手だけでなく、サポーターやアカデミー選手らに体験の場を提供していく予定。
専用のSNSアカウント開設も発表。素人同然のスタッフが自然とたたかい挑戦する姿や、作業の様子、作物の育成状況、イベント情報などを発信していくという。
上遠野修城里町長は「水戸ホーリーホックが城里町で農業を発展させ、美しい里山の風景を守ってくださることを強く期待している」と話す。
農作物はスタジアムや道の駅、ECサイトでの販売を目指すほか、ステッカーなどのグッズ販売も予定する。将来的には、収益の柱を目指す方針という。