水産物を使った茨城県産加工品の出来栄えを競う「県水産製品品評会」が11月10日、水戸市三の丸のすいさん会館で開かれた。
最優秀の農林水産大臣賞に「ヒオキ食品(北茨城市)」の「煮穴子」、霞ヶ浦北浦部門から「貝塚忠三郎商店(かすみがうら市)」の「しらうお佃(つくだ)煮」が選ばれた。茨城県水産物開発普及協会主催。
同協会は、水産加工業の振興を図ろうと1987(昭和62)年に設立。茨城県をはじめ、茨城県沿岸・霞ヶ浦北浦に面している市町村、水産加工連、8つの水産加工業協同組合の24会員で構成されている。
茨城県水産製品品評会は、水産加工業者の生産・技術改善意欲を増進し、茨城県の水産加工業者の発展と水産製品の向上を図ることを目的に毎年11月ころ実施。おいしくて安全・安心して食べてもらえる製品づくりの発表の場としている。
品評会には、県内の水産加工業協同組合に所属する水産加工業者から沿海部門116点、霞ヶ浦北浦部門250点の合計366点が出品された。製品の形や色つやなど7基準で点数化し、沿海部門から「ヒオキ食品(北茨城市)」の「煮穴子」、霞ヶ浦北浦部門から「貝塚忠三郎商店(かすみがうら市)」の「しらうお佃煮」が最優秀の農林水産大臣賞に選ばれた。
「ヒオキ食品(北茨城市)」の「煮穴子」は、食感の柔らかさにこだわって、地元北茨城市の平潟漁港及び大津漁港で水揚げされたアナゴを使った商品。苦みや臭みの原因となるぬめりを独自の手法で丹念に取り除き、煮あがった身は特に崩れやすいことから、熟練の社員が細心の注意を払って一匹ずつすくい上げるなど、丁寧に仕上げることを徹底している。骨が全く気にならず、しょうゆベースの煮汁で北茨城産アナゴの柔らかく大きな身をじっくり味わえる点が高く評価された。
「貝塚忠三郎商店(かすみがうら市)」の「しらうお佃煮」は、水揚げ後のシラウオをすぐに加工するため、煮くずれなく形よく仕上げた商品。近年の消費者の嗜好に合わせて塩分を控えめにし、味付けにはたまりじょうゆを使った。「素材の味を大切にしながらシラウオのうまみがしっかりと感じられる」という。
今年は、干物やつくだ煮など伝統的な製品のほか、近年の内食需要の高まりを反映した開封後すぐに食べられる製品や、塩やしょうゆのような定番の味付けに薫製風味を取り入れるなど、消費者が手に取りたくなるひと工夫をした製品が目立った。