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水戸の明利酒類がクラフトウイスキー造り 約60年ぶりの再開

クラフトウイスキー造りの再開を発表した明利酒類社員

クラフトウイスキー造りの再開を発表した明利酒類社員

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 水戸の総合酒類メーカー「明利酒類」(水戸市元吉田町)が9月27日、ウイスキー製造免許通知書の取得とクラフトウイスキー造再開を発表した。

保管された樽

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 江戸末期の安政年間に、新潟県から酒造り杜氏(とうじ)として加藤高藏が加藤酒造店として創業した同社。1950(昭和25)年に事業を継承し、明利酒類を創設した。1952(昭和27)年からウイスキー造りを始めたが、工場の火災により免許を返納していた。

 9月26日、同社では約60年ぶりにウイスキー製造免許通知書を取得。同社の本社工場内に新たに蒸留所「高藏蒸留所|TAKAZO Distillery」を設置した。常務の加藤喬大さんによると、蒸留所名は創立時の思いを引き継いで名付けたという。

 自社蒸留するシングルモルトとスコットランドモルト原酒などをブレンドし、さまざまなたるでウイスキー製造を行う。加藤さんは「ブレンディッドモルトウイスキーの原酒について、原酒の種類や選定の背景などの情報も開示していく予定」と話す。9月末から大麦麦芽によるモルトウイスキー製造と、酒蔵の強みを生かした米原料のグレーンウイスキーの発酵と蒸留を始める。

 同社では「Co-Crestion(共創)」をテーマに、蒸留するシングルモルトの0カ月、6カ月、1年、1年半、2年、3年の節目に、ジャパニーズウイスキーとして育っていく過程を楽しめるよう蒸留所での体験企画や試飲会などのイベントも開く予定という。

 加藤さんは「この地で始まったウイスキーづくりは、火災により道半ばで途絶えてしまっていたが、60年ぶりに再開できることとなった。これまでの歴史の重みと先人たちの息遣いに思いをはせながら、今、社員一丸となってウイスキー事業に取り組んでいる」と話す。

 「まだまだ少ない生産量だが、味とともに熟成の過程そのものを楽しんでいただける、新しい形の蒸留所として信頼を積み重ねていきたい。この高藏蒸留所から生まれる新しいウイスキーはわれわれも楽しみ。皆さまにお届けできる日まで、もうしばらくお待ちいただけたら」とも。

 シングルモルトのたる詰め前のウイスキー原酒を使った、蒸留したての「NewPot」販売、スコットランドのモルト原酒とブレンドしたブレンディッドウイスキーの製造・販売は2023年春ころ発表する予定。

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