JR水戸駅北口・南町二丁目商店街の「ショスールブティックフタカワ」(正式名称=株式会社二川靴店、水戸市南町)が1月7日、今年6月30日に閉店すると発表した。
「ショスールブティックフタカワ」外観(写真提供=株式会社二川靴店)
1895年(明治28)年にオープンした同店。婦人靴をはじめ紳士靴、バッグの販売や修理を生業の中心とし、現在の場所で営業を続けてきた。社長の荒川玉江さんが30歳ころ、都内から水戸へUターン。「東京に行かなくても、同じクオリティの商品が手に取れるしつらえの店にしたい」と取り扱う商品や内装、陳列にもこだわってきたという。
閉店について、荒川社長は「時代の変化で商店街への来街者の激減したほか、コロナ禍でリモートワークが普及するなど身につけるものの流れが変わっていった。海外で買い付けした商品の納品の遅れや見通しが立たない状況も大きかった」と振り返る。「国内で新型コロナの感染拡大が始まった2020年は『コロナを理由に閉店したくない』という思いだったが、2年、3年とコロナ禍による影響が続くなかで、自分たちも変化しなくてはいけないと思った」と話す。
ショーウィンドウには「あらたな一歩のために。」というキャッチコピーとともに、これまでの歴史や感謝をつづるメッセージと「より加速し、めまぐるしい変化を続ける昨今。今、足を止めることにしました。これからの時代をつくる、あらたな一歩につないでいくために。128年の感謝を込めて。二川靴店」と書かれたパネルが掲出されている。
60代の荒川社長は「これまで、多くのお客さまに私自身も、店も育てられてきたので、さびしい思いはある。やめるという決断をするのには勇気がいったが、これからは息子や孫の時代だと覚悟を決めた」とほほ笑む。
ネット上では「子どものころ、母が買い物のたびに『ここは高級なお店なの』と言ってた。20代のころ、ドキドキしながら扉を開けて、散々迷いながら、いつもよりちょっと高いヒールとお値段のパンプスを買った。50代になってから、近所に引っ越したこともあり、懐かしさを感じつつ、ふと立ち寄って仕事用の靴を買い求めた」、「生前、母はバッグも靴もフタカワさんでした」「街中がどんどん寂しくなってきます」(以上、原文ママ)などの書き込みが見られる。
現在、店内では靴・バッグのセールコーナーを設けている。昨年仕入れしたという商品の入荷を待ち、6月30日の閉店予定。同所で創業した靴店として128年の歴史に幕を閉じる。閉店後の店舗の活用などについては今後検討していくという。
営業時間は月・土・日=10時30分~17時。火~金=10時30分~18時。