水戸市内の田んぼで6月6日・7日の2日間、東洋英和女学院小学部(東京都港区)の小学5年の児童80人が田植え体験を行った。
企画は、東洋英和女学院小学部とJA水戸、JA茨城県中央会、森と未来の学校(アーストラベル水戸)が連携して取り組むもので今回が初開催。
東洋英和女学院小学部部長の吉田太郎さんは、コロナ禍について「学齢期の子どもたちにとっての3年間は大人以上に貴重な時間。マスク生活の続く中、人との接触を控えなければならなかったことによる弊害は計り知れない」と話す。
「子どもたちのよりよい成長、発達には本物の体験が重要。社会科や家庭科などの学習においても実体験を伴う学びを提供したい」との思いから、JA水戸、JA茨城県中央会、茨城県内外で教育旅行などを企画する一般社団法人「森と未来の学校」に相談し、開催にこぎ着けた。
当日、児童らは農家による米作りの講義を受け、米を使った「ポン菓子」を食べた後、田んぼに素足で入り、地元農家から苗の間隔や植え方の指導を受けながら、「冷たい」「何これ、沈む」となど、初めて体験する感触に歓声を上げながら苗を手で植えていった。
吉田さんは「都内でも区画を仕切り田植えをしたことはあるが、やはり茨城はロケーションが違う。子どもの新たな姿を見ることができたり、体験を通した発見や好奇心を刺激したりするきっかけになった」と手応えを話す。周辺に並ぶ田んぼで、カエルやチョウなどを見つけてそっと触ったり、観察したりする児童の姿に目を細める。
JA茨城県中央会広報担当の斎藤豪さんは「今回は米作りという形での体験だったが、それにより生物多様性にも触れることができているようだ。米の自給率を上げることも大切だが、それ以上に子どもたちの学びにつながれば」と話し、「森と未来の学校」代表理事の尾崎精彦さんは「今後も、子どもたちにとって、より探求につながる企画を提供できれば」と話す。
体験を終えた児童は「目で見えているより田んぼが深かった」「苗は塊で渡されて2、3本ずつ植えなくてはいけないことを知った」「講義と田植えをして農家の大変さを知った。秋においしい米ができれば」などの声が聞かれた。
10月上旬には稲刈りのために再訪し、最新の農業技術なども学ぶ予定だという。