茨城県の漁業者、加工業者、市場関係者、飲食店などで構成する「県産イセエビ消費拡大検討会」が6月30日、近年漁獲量が増加している茨城県産イセエビのブランド化による消費拡大をPRしようと大井川和彦茨城県知事を表敬訪問した。
「常陸乃国いせ海老」を手にする磯崎漁業協同組合代表理事組合長の岡田英男さん
当日、同団体は知事と意見を交わし、ブランド名やロゴマークの選定について話し合い、ブランド名を「常陸乃国(ひたちのくに)いせ海老」に決定。県産イセエビを知事に贈ったほか、ブランドPR動画の視聴などを行った。
山口楼(水戸市大工町)の山口晃平さんと磯崎漁業協同組合代表理事組合長の岡田英男さんが大井川知事に県産イセエビの環境や茨城ならではの強み、団体の取り組みを説明。「常陸乃国いせ海老」のブランド基準は、スタンダード=600グラム以上、活魚または冷凍、プレミアム=1キロ以上、活魚のみで、共に触覚・眼がそろい見栄えがするものとなっている。
県産イセエビを使ったすしを試食した大井川知事は「身が締まっていて、かむとうまみが出てくる。この県産イセエビの料理をきっかけに県外から茨城に来ていただけたら」と話す。
茨城県農林水産部魚政課係長の木村一磨さんによると、2017(平成29)年に8トンだったイセエビの県内漁獲量は最新となる2021年の統計で全国6位の58トンまで増加。昨年秋、県の働きかけから同団体が組織され、県産イセエビの消費拡大への検討を推進。県内の和洋中の料理人が、それぞれ工夫を凝らしたメニューを開発するなど取り組んできたという。
リストランテツム(つくば市)の大井健司さんは「茨城県産のイセエビは他に比べて大きいサイズが多いにもかかわらず、大味にならずに甘味が強い」と話し、東京を経由する場合もある流通の課題を挙げ、「より新鮮な状態で流通させられるようになれば」と期待を寄せる。
この日、すしを握った「鮨(すし)処花ひろ」(ひたちなか市)の畑高文さんは「茨城県の海域は環境も良いようで、身も大きく、食感が良く、繊細な甘みが感じられる。さまざまな料理にすることができる」と話す。
消費拡大に向け7月8日から、東京・栃木・茨城の料亭やいばらきの地魚取扱店など25店舗以上でブランドイセエビを使ったメニューフェアを開く。9月30日まで。