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水戸芸術館で展覧会「アートセンターをひらく」 隣接施設での展示も

「KITA」のメンバー 右端でマイクを持つのが北澤潤さん

「KITA」のメンバー 右端でマイクを持つのが北澤潤さん

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 水戸芸術館現代美術ギャラリー(水戸市五軒町)で現在、展覧会「アートセンターをひらく 2023-地域をあそぶ」が開かれている。

来場者が創作を体験できる「ひらくの間」

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 同展は「地域」「遊ぶ」をテーマに水戸市民会館開館記念事業として企画され、2019年に同ギャラリーで開かれた「アートセンターをひらく」の第2弾となる。ギャラリーの機能を「展示と鑑賞」「アートが生まれる場」と捉え、同ギャラリーのコレクション作品の展示に加え、来館者が創作を体験できるプログラムを行う。同館現代美術センター芸術監督の竹久侑さんは「展覧会として『創作』に焦点を当てている。当センターで開いた展覧会やワークショップなどで創作された作品を過去の創作の一部として展示し、同時に来場者が参加できるプログラムで現在進行形の『創作』に触れてもらいたい」と企画の意図を話す。

 第1室に当たる「ひらくの間」では、工芸や手芸の素材と道具を備え、子どもから大人まで来場者の創作意欲を促す。美術家の曽谷朝絵さんによる「もりのいろ」は、曽谷さんが描いた草木の絵に来場者が色鉛筆で自由に塗り絵を完成させるプログラムで、完成させた絵は展示会場内の壁に貼リ出していく。曽谷さんは「コロナ禍の中で人の活動が少なくなった街にはびこった雑草を、街の中に生まれた余白と捉えモチーフにした。地域の人それぞれの創造性が発揮され、壁一面に一つの大きな『森』が生まれればうれしい」と話す。

 第7室では、日本とインドネシアを拠点とするメンバーによるアート集団「KITA」の「Antara Kita (アンタラ・キタ)」を展示する。インドネシア語で「Kita」は「私たち」、「Antara」は「間」を意味し、日本とインドネシアの特徴を融合させた空間で「私たちとは何か」を問いかける。来場者はこの空間の中で過ごしたり、置いてあるものを手に取ったり、空間の外にある道具を中に置くなどして創作に加わることができる。メンバーの北澤潤さんは「この場では既存の境界線を曖昧にして、そこから見えてくる景色がどうなるかを表現したい。予想できない形で、国と国、作家と参加者の間にある曖昧さが拡張されていけば」と作品の狙いを話す。

 同展では、館外にも展示会場を設ける。隣接する水戸市民会館、京成百貨店で曽谷さんの作品を展示するほか、2005(平成17)年から継続する日比野克彦さんによる「明後日朝顔プロジェクト2023水戸」が行われている。コロナ禍を経て4年ぶりに市民の参加を呼びかけ、今年5月に苗植えをした朝顔を、水戸芸術館含む3館で連携して展示する。NPO法人「記録と表現とメディアのために組織」による「ホーム・ムービング!」は、昭和30~50年台の市井の人々が撮影した8ミリフィルムを収集し利活用するプロジェクト。同展では同ギャラリーでの展示に加え、茨城県信用組合ローンセンターなど近隣の複数会場で鑑賞できるようにする。

 同展は1枚のチケットで会期中何度でも入場できる。竹久さんは「この展覧会の光景が来場者の関わりによって徐々に変化していき、何度も来ていただくことでその変化を楽しんでもらえたら」と来場を呼びかける。「『地域をあそぶ』の副題の下、地域の方たちがどのようにこのアートセンターを楽しんでもらえるかを考えて企画した。広い世代の方にさまざまな楽しみ方をしてもらえれば」とも。土曜15時30分からは市民ボランティアが展覧会を案内する「ウイークエンド・ギャラリートーク」を予定。

 開館時間は10時~18時。入場料は一般900円、大学生以下と70歳以上は無料。同館外の連携会場への入場は無料。10月9日まで。

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