笠間市消防本部で9月17日、「サイクリストのための救命講習会」が開かれた。
笠間市内の自転車店「セーフティショップおおしま」が企画した。大嶋繁利店長は「最近、自分が見知らぬサイクリストの救護に当たることがあった。これからの時期は自転車のイベントも多くなる。とっさにどんな判断をするかなど、学ぶ機会が必要と考えた」と話す。
当日は、笠間市消防本部消防司令補の富施信也さんが応急手当ての重要性や、「心停止の予防」「早期認識と通報」「一次救命処置」「二次救命処置」による「救命の連鎖」の説明、自転車での転倒やけがを想定した応急手当て、搬送方法と体位管理、救急隊到着までの対応の講義を行った。
目に見える開放骨折だけ出血するわけでなく、閉鎖骨折でも同様に出血があるという説明や、体の部位によるおおよその出血量、「真っ赤に見える動脈性出血やすり傷や切り傷で起こりやすい静脈性出血のうち、直ちに止血が必要なのは動脈性出血」という説明では、ノートにメモを取る参加者の姿も見られた。
骨折に対する固定方法や組手搬送と前腕保持搬送は消防士の稲田晶馬さん、後藤龍輔さん、大原孝太さんがデモンストレーションを行い、搬送する時の腕の差し込み方や足の組み方などを説明。実践では、県内から参加した参加者13人がグループを組み実践。説明を受けた腕の組み方を実践すると70キロの体重の消防士を女性2人で持ち上げることもでき、茨城県南地域から参加した女性は「これなら、女性でも倒れた男性を安全な場所まで移動できる」と手応えを口にした。
富施さんは「コロナ禍で人との接点が減ったほか、他人に声をかけることに抵抗が生まれた部分もあると思う。それでも、事故などがあった際には『救命の連鎖』をつなげるためにも、勇気を出して声をかけ、119に連絡してほしい。その勇気が誰かの命をつなぐことができるかもしれない」と呼びかける。
笠間市消防本部では、市報などでも募集する定期開催の講習のほか、個別の要望に合わせた救命講習にも対応している。