台湾で「神様」として祭られている水戸市出身の海軍パイロット・杉浦茂峰について理解を深める「飛虎(ひこ)将軍講演会」が1月27日、友部公民館(笠間市中央3)で開かれた。
県内自治体として初めて台湾台北市に「笠間台湾交流事務所」を設置し、開設5周年を迎えた笠間市の記念事業「神様になった海軍パイロット-杉浦茂峰-飛虎将軍展」の一環で開催。
杉浦は水戸市で生まれ、1940(昭和15)年に海軍に入隊。横須賀海兵団、筑波海軍航空隊を経て台湾高雄海軍航空隊に移動後、1944(昭和19)年に台湾・台南市上空でアメリカ軍と交戦し被弾。集落への被害を避けるために畑に機体を墜落させた。死後、杉浦を祭る飛虎(ゼロ戦)廟(びょう)が設置され、現地の人々の信仰を集めている。
当日は、このエピソードを取材、題材にした「台南の空ゆかば~ボクとうさぎのマンゴーデイズ~」を執筆した作家の豊田美加さんが講演。「現地の人たちが墜落現場付近で白い姿の軍人姿を目撃することが相次ぎ、飛虎廟が建てられた」と廟設置の経緯を紹介。杉浦の最後の姿を目撃したお年寄りの情報、信仰する人が宝くじに当たるなどのご利益や日本と台湾の交流を深め合う存在になっていることを、現地での写真を元に説明した。
講演後、豊田さんと茨城台湾総会の田川莉紗会長との対談が行われ、田川さんは「台湾人は一口食事をもらうと3倍にして返す。恩を倍返しにする」「宗教も政治も多文化共存している」と台湾人気質に触れた。
同館1階ロビーで2月29日まで、展示企画「飛虎将軍展」を行っている。3月2日からは、筑波海軍航空隊記念館で行う。