水戸の音楽シーン活性化を目指す「ヒカリノハコプロジェクト」が8月15日、プロジェクト第1弾となる楽曲「命の灯(ともしび)」の配信を始めた。
「THE BACK HORN」ボーカルの山田将司さんと「COCK ROACH」ボーカルの遠藤仁平が発起人となり立ち上げた同プロジェクト。水戸の音楽シーン活性化と、水戸から世界へ音楽を積極的に発信できるツール開発などを予定する。
遠藤さんは「水戸ライトハウスでお世話になって東京に出ることができたという思いがある。新型コロナウイルスによりライブハウスが苦境に立たされる中で、音楽で何か支援できることがあれば」と話す。
遠藤さんは5月下旬、山田さんと電話で話し合い、COCK ROACH元メンバーの協力を得ながらプロジェクトを進めてきたという。プロジェクト名「ヒカリノハコ」は、エンターテインメントの発信拠点となるライブハウスや劇場を指す「ハコ」と、希望や暗闇を照らす「ヒカリ」を合わせた。
プロジェクトには、水戸や茨城ゆかりのアーティスト40人以上が参加。遠藤さんは「自分と山田は同い年ということもあり、共通の先輩や後輩に呼び掛けた。今回、特に自分たちより若い世代が多くなっている。このまま若い世代の活躍の場をなくしたくない、まだ産まれてもいない未来のバンドやアーティストにつなげたかった」と話す。
8月15日には「ヒカリノハコ」公式サイトで楽曲「命の灯」の先行配信を始めた。ダウンロード限定で、価格は550円。遠藤さんが3月に書き始めた歌詞を充てた。メインボーカルは山田さんが務めた。参加アーティストがそれぞれ主旋律やソロのパートに分かれ、1曲を仕上げた。山田将司さん、COCK ROACH、MUCC、石崎ひゅーいさん、松本明人さん(真空ホロウ)、Akyk(アキユキ)さん、江沼郁弥さんらが参加する。「『命の灯』で得た収益は水戸の音楽シーンのために還元していく」と遠藤さん。
遠藤さんは「『生きていくこと』を伝えたかった。新型コロナ禍以降、SNSをはじめ誹謗中傷が目についた。言葉の使い方一つで他人の命が危険な方にコントロールされてしまう。誰かが守ってあげないと駄目だと思った」と話す。
「今必要なのは、一つの命の重みを知ること。そして、隣人との命のつながり。『生きる』ということを見直してもらうきっかけになれば。当たり前だと思いがちな大切な人や場所を自分たちで守ろうという思いも込めた」とも。
配信以降、SNSを中心に「(曲を聴いて)生きようと思った」「涙が出た」といった声が多く寄せられているという。
「自分たちの故郷や表現場所に対する思いと音楽は、バンドや事務所の垣根、県や国境を越えて、人と人とをつなぐエネルギーになると確信している。楽曲もバンドの4~5人では想像できなかったエネルギーがあって、あらためて言葉や音楽の力を感じた。今後もさまざまな形でプロジェクトを進めていけたら」と遠藤さん。
「ヒカリノハコ」公式サイトでは現在、オリジナルグッズも販売している。収益は水戸の音楽シーン活性化の活動資金に充てる。9月1日から、「iTunes」「mora」などでも楽曲配信を行う予定。