茨城県と関東鉄道、県バス協会が9月1日から、新型コロナウイルス感染対策として飛沫(ひまつ)防止シールドを設置したTMライナーの実証実験を始めている。
8月26日に開かれたデモンストレーション展示では、開発した「飛沫防止シールド」を公開。「サワキ観光」(八千代町)の沢木民夫社長は「飛沫防止シールドは、今、予防策として考えられることを形にした商品。不安を安心に変えることができるのではないかと開発した」と話す。
サワキ観光が、ベビー用品メーカー「コンビ」と共同で開発。元・空気圧制御機器メーカー「SMC」勤務の斉藤光正さんが開発アドバイザーを務め、「茨城いすゞ自動車」が開発協力した。
シールドには、ベビーカーのフード部分の技術を応用した。顔付近の3方向を囲み1人用のプライベート空間を作り、隣席や後部席の利用客との飛沫を防ぐ。シールドは透明な樹脂製で、窓から見える景色を遮らないのが特長。左右を覆うアームはそれぞれ4段階の上下可動ができるほか、フード位置の前後可動も可能。身長190センチまで圧迫感なく利用でき、シールドアームの位置を調整することで、家族などの利用で2席1体型の空間を作ることもできる。安全性向上のため、ビスは使用せず、衛生管理の対応としてシールド本体を外して清掃・交換も可能な設計とした。
斉藤さんは「安全性が一番。新型コロナの影響で、観光だけでなく、小中学校の修学旅行や遠足も中止となってしまった。乗車人数の制限などにより、もし(遠足などが)再開してもこれまでの倍の費用が掛かってしまう可能性があり、現状の見直しが必要だった。自分は既に引退した身だったが、サワキ観光さんとの話の中で、未来ある子どもたちの楽しみや体験をなくしてはいけない、(修学旅行などの費用の)負担を増やさずに安全安心が提供できたらという思いに共感し、協力したいと思った」と振り返る。
実証実験は、今月10日まで水戸市とつくば市を結ぶ高速バス路線「TMライナー」の車両1台の全40席中16席に設置して行う。利用客へのマスク着用呼び掛けやアルコール消毒、定期的な換気といったガイドラインを徹底する上で、さらなる感染防止対策を図る。