「管理栄養士がおいしく提案 お弁当を使って勉強会&交流会」が11月16日、水戸の水府地区第2公民館(水戸市水府町)で開かれた。
講師は、鉾田市在住で管理栄養士の吉田順子さん。「自分の体を知る フレイルについて学ぼう」をテーマにした講演には、水府町内会などから30人が参加。熱心に耳を傾ける様子が見られた。 「フレイル」とは、要介護状態に至る前段階として位置付けられるが、身体的脆弱(ぜいじゃく)性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する(「フレイル診療ガイド 2018年版」、一般社団法人日本老年医学会、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター発行)。
吉田さんは「放置せず、早めに気づき、対処することが大事。『フレイル』の進行は防ぐこともできるし、適切な取り組みを行えば健康に戻ることができる」と話す。高齢期のやせ型は肥満よりも死亡率が高まるというデータをもとに「65歳を過ぎ、病気でもないのに痩せてきたら『メタボ予防』よりも『フレイル予防』への切り替え時」と説明する。
実際に必要な食品量を計算して作られた弁当は、鉾田産まごころ豚のハンバーグ、魚の塩焼き、えびの照り煮、シュウマイのチーズ焼き、卵焼き、肉団子、カニカマとアボカドのサラダ、切り干し大根の煮物、カボチャの甘煮、千切りキャベツ、プチトマト、パイン、ご飯、梅干し入りで約800キロカロリー。弁当を見た参加者からは「こんなに食べても良いのか」と驚きの声が上がった。
吉田さんが所属する「管理栄養士地位向上協会」は厚生労働省が公募した「令和2年度栄養ケア支援整備事業」に「管理栄養士による適切な栄養管理に基づく配食サービス普及のための仕組みづくり」で参加。超高齢化社会において必要不可欠な栄養をバランス良く摂取し健康を維持するための配食サービスの普及・サービス提供の人材の確保・育成に取り組んでいる。
吉田さんによると、コロナ禍で外出の機会が減少する中で「孤食=一人で食べる」という高齢者が増えているが、偏った食事による体調の変化に自分で気づくことは難しく「バランスの良い食事を『共食=皆で食べる』ことで『フレイル予防』につながる」という。同会は「配食サービス=弁当」を地域に取り入れ、効果を実証・研究する目的で企画されたもので、茨城県で初めての試み。健康支援型配食サービスの育成や定着を図る。
吉田さんは「元気に長生きすることが大切。今後も、地域参加で孤立を防ぎ、人も地域も元気になるように促す活動をしていきたい」と話す。