JR水戸駅構内に現在、「合格指定券」をもらえる掲示板が設置されている。
大学共通テストに合わせ始まった同企画は、同駅の新入社員7人が企画した。昨年11月末から「受験に臨む不安な気持ちが安心感になるように」と製作を進めた。1月13日に設置し、22日朝までに484枚が発券された。
「合格指定席券」は、鉄道会社ならではの「特急指定券」に似せたデザインで縦5.5センチ、横9センチ。ラミネート加工し、「お守り」として誰でも自由に持ち帰ることができる。発着駅名は「水戸→第一志望校」「水戸→合格」「水戸→サクラサク」など明るいイメージをちりばめる。
指定券下部には「水戸駅社員発行(2-タ)」と印字されており、「2」はJR東日本で購入したことを意味する。後半の「タ」は、きっぷの有効区間が、購入したJR会社から別のJR会社などにまたがる場合に付くもの。企画した新入社員の水戸駅営業係・向井隆徳さんは「水戸から未来に向かってはばたいてほしいと思いを込めた」と、ほほ笑む。通常、旅行条件が記される裏面には応援メッセージを印字するなど、細部にわたってこだわりを見せる。
「合格指定券」をめくると、水戸駅駅員ら30人が手書きしたメッセージやイラストが並ぶ。「自分の壁を超えられるのは貴方だけ!」「大丈夫、心配ないよ」「良いことが沢山ありますように」など力強いメッセージから、そっと背中を押すようなメッセージまでさまざま。
「コロナ禍というこれまで苦労したであろう中での集大成となる試験日。鉄道会社ならではの形で、しゃれを利かせたメッセージなどで緊張感を和らげられたら」と向井さん。
当初、1月17日までの設置予定だったが、駅利用客からの反響を受け、高校受験・大学受験などの結果が出る3月ころまで配布する予定だという。
SNSでは「コロナ禍でいろいろ大変ですが…応援メッセージに心温まりました」「駅員さん手作りの応援切符。優しさが溢れてました」(以上、原文ママ)などの声が寄せられている。
向井さんは「これからも地域の皆さまと駅を通してつながれる機会をつくっていきたい」と話す。同営業係の正田真悟さんは「受験生を持つ保護者などから『娘が受験生で来週試験なのでもらっていきます』『ほっこりした』『勇気づけられた』など、本当に多くのお客さまから反響をいただいた」と話し、「春以降も何か企画していけたら」と意気込む。