那珂市に3月6日、自家焙煎(ばいせん)カフェ「ogu cafe(オグカフェ)」(那珂市菅谷)がオープンした。
店主は小國京子さん。2019年、小國さんが好きなアーティストのライブイベントで、出店していたフリーランスのバリスタとの出会いをきっかけに、コーヒーに興味を持った。次第に「いつか自分もカフェを開きたい」と思うようになったという。
当初、数年先の開業をぼんやりとイメージしていたが、くしくも新型コロナウイルスの感染拡大と東日本大震災の10年の節目が小國さんの背中を押した。「『いつか』ではない。『今』やらずに後悔するより、まずはやってみよう」。勤務先に相談し、許可を受け、二足のわらじを履くことを決めた。
小國さんの本業は看護師。精神科・神経科病院で総師長を務め、現在、週5日は看護師として勤務し、休日の週2日をカフェ営業に充てる。
店の外では、看板犬のラブくんと、看板猫のふゆちゃん、たまちゃんも迎える。看護師の仕事の後、提供するメニューを仕込み、店は一人で切り盛りする。
カフェのコンセプトは、「ひとりでゆっくりと落ち着いて過ごせる場所」。コーヒーは自家焙煎で、希望に応じたメニューの提案も行う。ひきたてのコーヒーを入れる背景には、13年前に認知症を患ったまま行方不明になったという小國さんの父への思いがあるという。小國さんは「物心がつく頃から、家庭でコーヒーを楽しむ父の姿があった。私の入れるコーヒーの香りにつられて、夢の中だけでもひょっこり父が帰ってきてくれたら」と在りし日をしのぶ。
メニューは、福岡から取り寄せた自家焙煎豆を使った深いりの「ogu cafeブレンド」、浅いりの「Kansyaブレンド」、水戸市の「Workers coffee stand」、日立市の「Tadaima Coffee」のコーヒー(以上、500円)をはじめ、イチゴをふんだんに使いムースなどを層にした「天使が舞い降りるいちご」(1,000円)、広島県産のハート形レモンを使った「ハートのレモンのチーズケーキ」(1カット=400円)など。茨城県の食材を積極的に使うなど、地産地消にも注力し、イチゴは城里町産、卵は那珂市産を使う。提供メニューは、仕込みの状況により変動する。
飲食には全5室と1カ所を用意する。新型コロナ対策も兼ね、友達やグループでの来店にお薦めの「カフェスペース」、カントリー調の「リビングルーム」、子連れにお薦めのたたみ部屋「和室」、ピアノを楽しめるソファ席の「ピアノ室」、「テラス」があり、部屋貸しにも対応していく予定だという。
「私自身、4人の子の母。母として、こんな風に生きていけるのだと、背中を見せたいという思いもある」と小國さん。「周りからの後押しや支えで今がある。後悔しない人生のためにも、何か一つに縛られない、こんな生き方もあるのだと、いくつになっても夢を実現することができるのだと伝えることができたら」とほほ笑む。「未知の世界で不安もあるが、人と人とのご縁を大切にして頑張りたい」とも。
「店で薬を出すことはできないが、一人で悩んでいたらコーヒーを飲みながら話ができたら」と話す。
営業は毎週水曜・日曜のみ。営業時間は10時~17時。