JR東日本・水戸支社が4月28日、列車内に自転車を持ち込める「サイクルトレイン」の試運転を行った。
5月1日から始まる「水郡線サイクルトレイン実証実験」周知を図ろうと企画した。同実験のコンセプトは「走りたい場所をハシゴする、世にも新しく、楽しい」。期間中、「#ハシゴライド」のハッシュタグも用意する。
JR東日本水戸支社営業部の蔵冨秀穂部長によると、サイクルトレインには、自転車を活用した地域活性化、ウィズコロナの新しい列車旅の提案、今年3月27日に全線運転再開となった水郡線とともに沿線地域を盛り上げたいとの狙いがあるという。
サイクルトレインでは、通常列車に乗る際に必要となる自転車を解体して輪行袋に入れるという行程が必要なく、そのまま列車に持ち込み、降車後すぐにサイクリングを楽しむことができる。
試運転が行われたのは、上菅谷駅(那珂市)~常陸大宮駅(常陸大宮市)までの区間。この日は、JR職員や茨城県職員、水郡線沿線の自治体関係者など9人が自転車を持ち込み、サイクルトレイン乗車を体験した。
同路線では、新車両は用意せず、通常の列車で利用客の少ない土曜・休日の9 時~16 時ごろの時間帯に実施区間を限定して実証実験を行う。
実証実験は5月1日~9月26日の土曜・休日計52日間。実施区間は水郡線の上菅谷駅(那珂市)~磐城棚倉駅(福島県東白川郡棚倉町棚倉北町)と、上菅谷駅(那珂市)~常陸太田駅(常陸太田市)。
4月28日現在、多い日には60人ほどの予約が入っており、上菅谷駅~常陸太田駅間、常陸大子駅~磐城棚倉駅間などの申し込みが特に多いという。
蔵冨部長は「サイクルトレインは初めての取り組み。新型コロナによって、旅行形態も大きく変わり、今、アウトドアアクテビティーの流れもある」と話す。
「(水郡線沿線では)風光明媚な景色を楽しんでいただける。列車の旅と自転車を組み合わせて、沿線の自治体を立ち寄る『#ハシゴライド』を楽しんでいただけたら」と呼び掛ける。
今後、無人駅での乗降や乗車区間、時間帯の制限についても視野に入れる。「各駅でスロープや階段の有無などの差がある。さまざまな面で安全対策を講じながら、一般の利用客や各自治体とも連携して周知し、地域の方の理解もいただきたい」とも。
茨城県交通政策課の中村浩課長は「水郡線沿線では、『久慈川サイクリングロード』『奥久慈里山ヒルクライムルート』などもあり、初級者から上級者まで楽しむことができる。今後、県内外からの誘客の期待は大きい。鉄道は、地域の大きな交通手段。なくさないために、一般の鉄道利用客とサイクリストの共存ができれば」と期待を寄せる。
常陸大宮市地域おこし協力隊でサイクリング担当の吉川勝さんは「常陸大宮には久慈川も里山もある。サイクルトレインを活用してサイクリングを楽しんでいただけたら」と話す。
同サービスの利用には「水郡線サイクルトレイン」ウェブサイト上での事前登録が必要。乗降可能な駅で、利用登録証を駅係員に提示し利用する。専用ウェブサイトでは「サイクルトレイン登録システム」のほか、水郡線沿線のお薦めスポットなども紹介する。