茨城県立歴史館(水戸市緑町)で4月29日、企画展「中世佐竹氏の世界-千秋文庫所蔵文書から-」が始まった。
中世の常陸国を支配した大名・佐竹氏。旧秋田藩主佐竹家に伝わった文化資料を収蔵・展示する千秋文庫(東京都千代田区)の所蔵する史料のうち、東京大学史料編纂所で修理された南北朝時代から江戸幕府が開かれたころの古文書41点を初公開する。
古文書は「乱世に行き交う文書」「天下人の大きな文書」「乱世を越えし者たちの文書」の3章に分けて展示する。上杉謙信や武田信玄、石田三成から佐竹義宣(よしのぶ)や父の義重(よししげ)らに送られた書状が並ぶ。内容は、戦況報告や弔意、時候のあいさつなど多岐にわたる。
文書は将軍(大御所)が国持ち大名に出す私信である「御内書」、上意下達で権威的な文書「朱印状」、上意下達だが朱印状より権威的ではないとされる「黒印状」、同格の者同士で交わされた私信である「書状」に分類する。
資料調査専門員の飛田英世さんは「戦況や援軍を求める書状から天下統一後の近況を知らせる内容まであり、時代の移り変わりを知ることができる」と話す。「書状の大きさや紙質は権威の象徴だった。内容も位が高い人ほど簡潔で、宛名を左下に書くなど違いがある。ぜひ見比べてほしい」と話す。
1623(元和9)年に伊達政宗から佐竹義宣に送られた書状では「消化器系の疾患に悩まされている」との内容が記されているほか、細川忠興からの書状では「訪問の日程調整」との内容が記されている。
飛田さんは「戦国時代が終わると、今でいうライン(メッセージアプリ)のやりとりのようなたあいのない話もできるようになってきている」と解説する。
会場では、文書の修理手順をパネルで説明するほか、展示に合わせて製作したパンフレット(300円)の販売も行う。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入場料は、一般=610円、大学生=320円、満70歳以上=300円、高校生以下無料。6月13日まで。