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大洗水族館でシロワニの赤ちゃん誕生 繁殖成功は日本初

誕生したシロワニの赤ちゃん

誕生したシロワニの赤ちゃん

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 アクアワールド茨城県大洗水族館(大洗町磯浜町)で6月17日、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているサメの一種「シロワニ」の赤ちゃんが誕生した。生きて生まれた事例は世界で5例目、国内では初の快挙となる。

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 サメの飼育種類数日本一を誇る同館では2002(平成14)年の開館以来、シロワニの繁殖事業に注力している。シロワニの繁殖行動について研究を重ね、オスとメスの発情期が異なるという結果を元に、オスとメスの発情期のリズムを合わせる作業からスタートしたという。

 同館で飼育する親の個体は、南アフリカ共和国から搬入したことから、現地の水温変化に合わせた環境にしてみたところ、オスの個体の発情期に変化が生じたという。その後、日本の水温変化に変更する、照明の点灯時間を時期によって変えるなどの工夫を行い、より自然界の環境に近づけるような実験を行った。

 2015(平成27)年、国内初となる妊娠を確認。死産だったが、日本初の妊娠例となった。さらに水温調節などを行い、今回の繁殖成功に至った。

 同館広報担当者によると、出産の兆候として、親魚に胎動らしい動きが出たのは今年2月ごろ。飼育スタッフが交代で観察を続けてきたが、過去のデータも少なく、あまりにも期間が長かったこともあり、「もしかしたら違うかも、と不安はあった」という。

 6月17日早朝、親魚の排泄孔から白い液体状のものが漏れ始め、その後も断続的に継続。10時35分、尾の先端を確認した。その後、頭部が現れ(胎内でU字になっていたという)、11時6分に出産した。同館飼育担当者は「逆子ではないかとヒヤヒヤしたが、無事生まれてくれたのでホッとした」と胸をなで下ろす。

 この日、誕生したシロワニの赤ちゃんは、体長92.2センチ、体重4.3キロのメス。

 「何よりも生まれた瞬間は興奮しすぎて記憶がない」と飼育担当者。「水槽前で生まれる瞬間を見ることができたが、確認すると同時に取り上げのため、体が勝手にバックヤードに向かって走っていた」と振り返る。「今回の親魚も子どもの時から娘のように育てている個体。その子どもはかわいくて仕方ない。おじいさんが孫を見る目はこんな感じなのかもしれない」と喜びをかみしめる。

 今回、同館では2個体の妊娠を確認しており、2匹目については自然産出を待っている状況だという。広報担当者は「開館20周年を迎える中で日本初の繁殖に成功した。コロナ禍で明るいニュースとしてお届けできたら」と話す。

 現在、シロワニの幼魚は、バックヤード備蓄水槽で成長を見守っている。一般公開展示の時期は、幼魚の状態を見て判断していく。

 開館時間は9時~17時。入館料は、大人=2,000円、小中学生=900円、幼児=300円。

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