水戸の八木沢木工(水戸市五軒町)がヒノキを中心とした「ファクトリーショップ」(工場直営ショップ)をオープンして8カ月がたつ。
八木沢木工は、1868(明治元)年に、初代・八木澤政之助が家具指物製造業として創業。同店は、今年2月にオープンした工場併設の直営ショップ。茨城県も産地として知られるヒノキを中心とした国産木材に着目し、ダイニングチェアやテーブル、子ども用椅子、ギフト向け知育玩具、キッチン雑貨といったヒノキ材を有効活用した日常のくらしに寄り添う家具や雑貨を製造・販売している。
社長の八木沢章さんによると、新型コロナの影響で本業となる家具の製造が途絶えた時期のオープンだったという。コミュニケーションについての不安をよそに、「これまでお客さまにとっても敷居が高かった家具のオーダーが増えた」と八木沢さん。
「日本は国土の60%が森林。森の木々は動植物の整体環境を整えるだけでなく、空気や水の浄化も担っている。今、ヒノキの素晴らしさが見直されてきているが、元来、日本の森の木々でつくられた家具には、手触り、ぬくもり、やさしさ、自然の色など五感で感じることのできる美しさがある」と話す。
オーダーされる家具は、室内で飼うネコの脱走防止ゲートや木製のすだれ、マンションに設置するテレビボード、キッチンのバックセットなど注文は多岐にわたる。テレビボードやキッチンのバックセットは特に需要が高く、「既存のサイズや価格帯では手が出ないものも、オーダーで実現できる」と好評という。
同店では、限られるスペースをどう有効に使うか、客とコミュニケーションを図りながら家具を完成させる。完成品は、基本的に製作した職人が直接納品・説明に向かうなど、一貫したサービスを行う。
20~30代には、木のコップや出産祝いとしての木のおもちゃ、ダイニングセットをはじめ、コロナ禍で家で過ごす時間が増えた背景から「プレイリー」というイスも人気という。
八木沢さんは「私たちがほれこんで扱っているヒノキを余すことなく使えるようにしたいと考えている。SDGsの観点からも、国産材を使うことで環境負荷をかけないようにするなど、取り組めることがある」と話す。「今、社会的に、物の買い方もカルチャーになってきている。木にはさまざまな楽しみ方がある。SNSの発信も含めて、いろいろなところから伝えて行けたら」とほほ笑む。
営業時間は、平日=10時~18時、土曜・日曜・祝日=11時~19時。