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水戸・常陽史料館でガラス作家の塩谷直美さん個展 自分の言葉を残す表現

ガラス作家の塩谷さんと1994年にフランスで制作した「異国の月」

ガラス作家の塩谷さんと1994年にフランスで制作した「異国の月」

 ガラス作家・塩谷直美さんの個展「硝子ことば」が現在、常陽史料館(水戸市備前町)で開かれている。

1994年から2025年に制作した作品23点を展示する

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 東京都出身の塩谷さんは現在、ガラス作家の夫と水戸市内にギャラリー「どこかの」(水戸市袴塚)を構え、毎月1日~5日に企画展を行っている。今回の展示では、塩谷さんが1994(平成6)年から2025年に制作した作品を23点展示。石こうの型にガラス片を詰めて窯で焼成、溶融する「コールドキャスト」の技法で作り、同展に向けた新作「二〇二六水戸常陽資料館」と制作過程を記録した映像も公開する。

 塩谷さんは1993(平成5)年、吹きガラス職人として渡仏。異国での生活や仕事の中で、自身の作品制作が進まない時期があったという。「学生時代の先輩に、スランプの時は文章を残すといいと言われたことと、友人に贈ってもらった詩集がきっかけで、自分も詩を書くようになった」と塩谷さん。初めて書いた詩「異国の月」をガラスの塊で表現した同タイトルの作品は、同展で唯一フランス時代の作品であり、塩谷さんにとってコールドキャストでの最初の1点でもある。

 塩谷さんの作品には、自身の身の回りの出来事や社会への視点が色濃く反映される。「祈りの水」は義父が仏壇に毎朝置く3杯の水をテーマにした作品で、義父から「長女が生まれる前に三回流産した」と教えられたことが起点となった。「風化」は塩谷さんが東日本大震災の被災地を訪れた時の記憶から生まれた作品。「二つの時間」は、過去の制作過程で残っていたパーツなどを上下に2つ組み合わせた作品で、それぞれのパーツを制作した2つの年号が記されている。

 会場では、塩谷さんが同展に向けてつづった文章と作品解説をハンドアウトとして配布する。同館職員の飛田文さんは「作品一つ一つの物語に思いをはせながら鑑賞してほしい。吹きガラスとは異なる、塊としてのガラス作品の魅力を知ってもらいたい」と話す。

 塩谷さんは「こういう考えで作ったんだということを言葉と一緒に渡したい。過去の作品を並べると古い日記を読み返しているよう。『自己満足』かもしれないが、私の制作の原点は自己を満足させること。こんな人間がいて、こんな表現があるんだなと思ってもらえたら」と話す。

 開催時間は10時~17時。入場無料。日曜・月曜休館。5月30日まで。

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