株式会社みちのりホールディングス(本社: 東京都千代田区、代表取締役グループCEO: 吉田 元、以下 みちのりHD)及びKDDI株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役社長 CEO: 松田 浩路、以下 KDDI)の2社は、自動運転向けにAIが通信品質を自律的に最適化する通信技術を活用し、茨城県日立市において、2026年9月1日から(注1)、自動運転バスを用いた通信技術実証(以下 本実証)を実施します。
特定自動運行主任者を遠隔に配置した特定自動運行では、遠隔監視システムの作動状態を監視することが義務付けられており、途切れることのない安定的な通信環境が不可欠となります。一方、通信品質の向上に向けた新たな通信インフラの整備には、費用と時間を要します。
本実証は、基地局の動作に影響する多様なパラメーターの設定を複数のAIが協力して自律的に最適化する技術を活用し、5G接続性や通信品質の向上を図ります。加えて、遠隔監視業務の改善効果の可能性や運用負荷の削減可能性を検証します。
なお、本実証は、総務省から採択された「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」の取り組みの一環として、日立市の協力のもと実施します。本実証で用いるAIを活用したネットワーク高度化技術は、KDDIとKDDI総合研究所が2026年2月から全国の基地局へと順次導入しています(注2)。
両社は本協業を通じて、自動運転サービスの事業性・運用性・安全性を高めながら、運転手不足や交通空白地域の拡大などの課題解決に貢献し、持続可能な地域交通の実現を目指します。
■背景
- 近年、日本全国で運転手不足を背景に移動手段の確保や維持が社会問題となっており、自動運転技術を活用した移動サービスの早期社会実装を目指し、各地で実証走行が行われています。
- 特定自動運行主任者を遠隔に配置した特定自動運行(遠隔監視型レベル4自動運転)では、遠隔監視システムの作動状態を監視することが義務付けられており、安定的な通信環境の確保が重要です。
- 政府は、「モビリティ・ロードマップ 2025」において「自動運転社会実装先行的事業化地域」(注3)を選定し、関係府省庁の施策を集中的に投入する取組を開始するなど、2027年度を目標に、先行的な自動運転サービスの事業化を実現し、他地域への横展開を通じて、全国での社会実装を目指しています。
- 日立市は、2017年から日立市が整備したバス専用道を走行する「ひたちBRT」において自動運転走行実証を国内で先行して実施し、2026年3月からは国内最長距離の約6.1km区間かつ、国内初の中型バスでレベル4の商用運行実績があります(注4)。また、先述の「自動運転社会実装先行的事業化地域」にも今年3月に採択されています。
■本実証について
1.実証概要
本実証では、遠隔監視システムによって監視されている自動運転車両が走行している通信環境を対象に、主に以下を検証します。
- AIによるRANパラメーター最適化(注5)の適用前後で、通信ネットワークの設計・調整業務に係る工数の削減効果を検証。
- 基地局ログや通信状態の収集・可視化を通じて区間別の通信品質を評価し、実証エリアにおいて、AIのRANパラメーター最適化による自動運転向け通信品質(5G接続性・電波品質など)の改善効果を検証。
- 今後の遠隔監視業務を見据え、通信品質と映像品質の関係を評価し、特定の遠隔監視業務における改善可能性を検討。
2.各社の役割
【KDDI】
- 本実証における管理・統括
- 実証企画・計画、実証体制の構築
- 通信機器の選定・調達・提供
【みちのりホールディングス】
- 本実証エリアにおける自動運転の運行仕様 / 事業性の検討
- システムの要求仕様の検討支援
- 実証事業の実施調整
3.実証エリア
本実証は、ひたちBRTルートと大甕駅周回ルートの2つの自動運転ルートが展開されているエリアにおいて実施します。ひたちBRTルートでは、2025年2月から2026年3月までバス専用道路空間を活用したレベル4自動運転の営業運行実績があり、大甕駅周回ルートは一般道路空間で自動運転の実証を行っています。
(1)ひたちBRTルート
- 2025年2月より、国内最長6.1km区間をレベル4自動運転で営業運行。
- BRT専用道区間には、バス停が14箇所、一般道との交差部が11箇所、横断指導線(歩行者等の横断部)が15箇所存在。
- 車両は、中型車両(いすゞ エルガミオ)をベースに、LiDAR、カメラ、ミリ波レーダ、ジャイロセンサ、GPS受信装置等を搭載。

<ひたちBRTルートと走行車両>
(2)大甕駅周回ルート
- 大甕駅東口~臨海工場前~大甕工場前を結ぶ、約3.0kmの周回ルートで、2025年1月からレベル2での自動運転の実証を実施。
- 車両は、小型バス車両(ティアフォー Minibus)を使用し、ひたちBRTと同様に、LiDAR、カメラ、ミリ波レーダ、ジャイロセンサ、GPS受信装置等を搭載。

<大甕駅周回ルートと走行車両>
(注1)本実証におけるデータ取得期間は、2026年9月1日から2026年10月末までのうち7日間程度を想定しています。
(注2)2026年2月18日 KDDIニュースリリース
複数のAIが協力するエリア最適化技術を全国の基地局に導入
~通信品質の安定性を25%改善、最適化に要する作業期間を95%以上短縮~
(URL:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-920_4331.html)
(注3)出典:デジタル庁「令和7年度(2025年度)自動運転社会実装先行的事業化地域事業」
(https://www.digital.go.jp/policies/mobility/a71c2b0b-0506-43de-b7f8-2cb20172752a)
(注4)2025年2月3日 経済産業省
国内初!レベル4自動運転の中型バス「ひたちBRT自動運転バス」の運行サービスが開始されました(METI/経済産業省)
(注5)RANパラメーター最適化とは、基地局の無線アクセスネットワーク設定を調整し、対象エリアの通信品質や接続性を改善する取り組みです。