笠間の「茨城おとなのかき氷 四季と六花」（笠間市笠間、TEL 050-7129-9535）が現在、初夏限定メニュー「ころころメロンスぺシャル氷」を販売している。
店主の石岡コージさんは東京都出身。前職で茨城に出張に訪れた際、会食で出された茨城県産メロンを食べ、おいしさに驚いたという。「スーパーに足を運ぶと、売り場には東京では見られないほどの種類のメロンがズラリと積まれていた。新鮮なものが、安く、たくさんある光景に目を疑った」と振り返る。「茨城ではメロンだけでなく、リンゴ、ミカン、ブドウ、クリ、シジミまで取れると知った。以前から、魅力度ランキングで47位だと知っていたが、こんなにおいしいものがあるのにもったいない。フルーツを使ってうまくPRすれば、魅力度も上がるのではないか」と一念発起。2018（平成30）年、知り合いも土地勘もないまま、茨城県に移住した。フルーツとの相性の良さや女性にとっての「ほかのスイーツに比べて罪悪感が少ないご褒美スイーツ」として、かき氷に着目。自身のかき氷好きもきっかけの一つだった。
2019年6月、フルーツをふんだんに使ったかき氷店「茨城おとなのかき氷 四季と六花」として日立市で開業。今年3月に笠間市の古民家コミュニティーカフェ「ナナイロ」内に移転した。店舗は、テーブル席・座敷含む通常26席。（現在、新型コロナウイルス感染対策として13席）。店名は、「豊かな日本の四季を味わうこと」「食べ物には旬があること」と雪の異称である「六花」でふわふわで雪のようなかき氷にちなんだ。石岡さんは「かき氷というと、子どもが食べるイメージが多いが、『茨城おとなのかき氷』とすることで、分かりやすくしたかった」と話す。
メニューは、定番の「マスカルポーネの大人ティラミス」「ここでしか味わえない！魅惑の黒ごまラテ」など5品のほか、週替わりで6品。常時11、12種のメニューを用意する。6月11日時点の週替わりメニューは、「鉾田産ころころメロンスぺシャル氷」（2Lイバラキング＝1,500円、3Lクインシー＝1,800円）、「鉾田産ころころメロン超スぺシャル氷」（4Lクインシー＝2,000円）」、「森のバター アボカドとミルク」（1,200円）、「もったり完熟オーガニックの焼きバナナ」（1,100円）、「キウイと特製ヨーグルト」（900円）の6メニュー。なるべく手を加えず、自然の栄養素を最大限に引き出してベストな状態で味わってほしいと、当日の朝にシロップを仕込む。アボカドやバナナをはじめ、フルーツは注文を受けてから調理する。
「ころころメロンスぺシャル氷」の開発には約1カ月をかけた。メロン農家の「どうせ食べるんなら、かき氷じゃなくて『かぶりついて』食べで欲しいなぁ」という一言でメロンを果汁とせず、そのまま使おうと決めたという。試行錯誤する中で、職人だった父の「一度でいいから、メロンをまるごと食ってみてぇなぁ」という言葉がリフレインした。「メロンの形を残して味もそのまま、余計なものは入れたくない」という思いを実現するために、メロン半玉以上を器に見立て、削った純氷、自家製ホイップを載せ、くりぬいたメロン二種を山にした。
「鮮度の良い野菜やフルーツが豊富にありながら、県民の多くはその豊かさに慣れてしまっているように思う」と見解を示す石岡さん。楽しんでもらえるメニュー開発に力を注ぎ、毎月新しいフルーツメニューを考案している。「お客さんには、楽しんでほしい。人生を変えるかもしれない物事と出会う『きっかけ』になれたら」と笑顔を見せる。
店には、隣接県や東京、神奈川、山梨などから来店もあり、毎週通う客や1人で4杯のかき氷を食べる客、片道50キロの距離を通い全メニュー制覇する客もいるという。
「友人知人もいない土地で、ゼロからのスタートだったが、城里のブルーベリーや笠間のクリ、常陸大宮のつづく農園のイチゴ、鉾田のメロン、小美玉のスイカ、干し芋にトマト。遠方から足を運んでくれるお客さんはもちろん、一人、二人と地元の人の紹介で生産者とのつながりが増え、気づけば茨城の食材を応援するつもりが、自分が応援・助けられてばかり」と石岡さん。「人と人のつながりは大切。自分がそうであったように、生産者と消費者を『つなぐ』存在でありたい」と意気込む。
「ころころメロンスぺシャル氷」は6月末頃までの販売を予定する。営業は土曜・日曜限定。営業時間は11～17時。最新情報はインスタグラムで発信する。